産廃を契約書なしで出してしまいました。どうすればいいですか?
書面での委託契約は委託基準で定められた義務で、結ばずに委託すると罰則の対象になります。まずは次の引渡しを止めてください。業者の許可を確かめたうえで、収集運搬業者・処分業者のそれぞれと書面で契約を結び、経緯を記録します。判断に迷うときは自治体に相談してください。
要点: 産業廃棄物の運搬や処分を他人に任せるときは、書面で委託契約を結ぶことが義務づけられています(施行令6条の2第4号)。結ばずに出してしまったら、次の引渡しを止め、業者の許可を確かめ、書面の契約を結んでから再開します。
何が問題になるのか
排出事業者が処理を委託するときに守るべき決まりを委託基準といいます(法12条6項)。主な中身は次のとおりです。
- 許可を持ち、出す品目が許可の事業の範囲に入っている業者に任せる(法12条5項、令6条の2第1・2号)
- 書面で契約し、決まった条項を入れる
- 許可証の写しを添付する
- 契約書を5年間保存する
回数による例外はなく、1回だけのスポットの依頼でも同じです。
委託基準に違反して委託した者は、3年以下の拘禁刑か300万円以下の罰金、またはその両方の対象になります(法26条1号)。法人も300万円以下の罰金の対象です(法32条)。さらに、委託先で基準に合わない処理が行われ、生活環境に支障が生じるおそれがあるときは、委託した排出事業者も支障の除去等の措置命令の対象になります(法19条の5第1項2号)。
契約書が「ない」とされやすい例
- 見積書・請求書・口頭のやりとりだけで出した
- 収集運搬業者とだけ契約し、処分業者と契約していない(京都市は、収集運搬と処分は別々に書面で契約し、同じ業者ならまとめてよいと案内しています)
- 業者の書式に署名したが、料金や有効期間などの条項が空欄で、許可証の写しも付いていない
- 前の契約の期間が切れたまま出し続けている
見積書や請求書だけでは、法律で決まった条項(施行令6条の2第4号、施行規則8条の4の2)を備え、許可証の写しを添付した書面とはいえません。契約書に書く内容は委託契約書は必要かにまとめています。
気づいたらやること
- 次の引渡しを止める。 契約を結ぶまでは、廃棄物を引き渡さないでください。
- 業者の許可を確かめる。 品目・区域・有効期限が合っているかを、許可証の写しで確認します(許可証の見方)。品目が許可の事業の範囲に入っているかは、品目ページ(例:汚泥)の区分と照らし合わせます。許可がない業者だった場合は、無許可業者への委託になり、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、またはその両方の対象です(法25条1項6号)。この場合はすぐに自治体に相談してください。
- 出した分の行き先を確かめる。 マニフェストを交付していれば、返送された写しで、処分まで終わったかを確かめます。返ってこないときはマニフェストが返ってこないときの手順に進みます。
- 書面で契約を結ぶ。 収集運搬業者・処分業者のそれぞれと結び、許可証の写しを添付します。
- 経緯を記録する。 いつ、何を、どれだけ、どの業者に出したかを、伝票や請求書と一緒に残します。
契約書の日付をさかのぼらせない
以前から契約していたように見せるために、契約日を過去の日付にするのはやめてください。事実と違う書面になり、かえって説明がつかなくなります。契約日は実際に結んだ日とし、それより前に出した分は、経緯の記録で説明できるようにしておきます。
再発を防ぐには
環境省のチェックリストには、排出事業者が自分で確かめる項目として、次のものが挙げられています。
- 収集運搬業者・処分業者のそれぞれと直接、書面で契約しているか
- 法定の条項と許可証の写しがそろっているか
- 契約書を保存しているか
あわせて、契約の満了日を台帳で管理し、満了の前に見直すと、期間切れを防げます。
契約内容を後から変える場合、京都市は、軽微な変更なら変更内容を書面にして双方が記名し、契約書に添付するよう案内しています。大きな変更の場合は、契約を結び直すよう案内しています。自社のケースで判断に迷うときは、事業所のある都道府県・政令市の産業廃棄物担当に相談してください。
根拠と確認先
このページで説明した制度や数字の根拠となる資料です。
- 廃棄物処理法12条・19条の5・25条・26条・32条(e-Gov)laws.e-gov.go.jp
- 廃棄物処理法施行令6条の2(委託の基準)(e-Gov)laws.e-gov.go.jp
- 廃棄物処理法施行規則8条の4の2・8条の4の3(e-Gov)laws.e-gov.go.jp
- 環境省 排出事業者責任に基づく措置に係るチェックリスト(令和5年3月一部改訂)www.env.go.jp
- 京都市 産業廃棄物の処理の流れ(委託契約の注意点)sanpai.city.kyoto.lg.jp
- 京都市 産廃Q&A(4-3排出事業者が責任を問われる場合、5-1-3契約内容の変更)sanpai.city.kyoto.lg.jp
運用は都道府県や市区町村によって異なる場合があります。個別のケースは、事業所のある自治体の担当窓口にご確認ください。
関連する品目
このページに出てくる用語
- 委託基準
- 排出事業者が産廃の処理を他人に委託するときに守る決まり。許可のある業者を選ぶ、書面で契約する、契約書を5年保存する、など。
- 無許可業者への委託
- 委託した排出事業者も、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金、またはその両方の対象。「無料回収」には特に注意。
- マニフェスト(産業廃棄物管理票)
- 産業廃棄物の処理を委託するとき、排出事業者が交付し、処理の流れを確かめるための伝票。