金属スクラップを買い取ってもらうとき、何に気をつければいいですか?
有価物と認められるには、運搬費などを差し引いても手元にお金が残ることが前提です。そのうえで性状や他社への売却実績なども合わせて有価物と判断されれば、廃棄物処理法の委託の決まりは適用されません。運搬費を引くと赤字になる場合や、処理料金の名目で払っている場合は、産業廃棄物と判断されることがあります。その場合は、許可業者への委託・契約書・マニフェストが必要です。迷ったら、売る前に自治体に確認してください。
要点: 金属スクラップを売るときにまず確かめるのは、運搬費などを差し引いても手元にお金が残るかです。手元にお金が残ることが有価物と認められる前提で、ほかの要素も合わせて有価物と判断されれば、許可業者への委託やマニフェストは要りません。手元が赤字になる場合や、処理料金の名目で払っている場合は、売買の形をとっていても産業廃棄物と判断されることがあります(環境省「行政処分の指針」)。その場合は、金属くずとして許可業者に委託します。
有価物かどうかの判断基準
廃棄物かどうかは、物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無、持ち主の意思を総合的に判断します(行政処分の指針 第1の4(2))。どれか1つで決まるものではありません。
なかでも重視されるのが「取引価値の有無」です。指針は、次の点を確認するよう求めています。
- 名目を問わず、売り手(排出する側)から買い手へ、処理料金に当たる金品が渡っていない
- 運送費などの諸経費を考えても、売値が双方にとって商売として成り立つ額である
- その相手以外にも売った実績がある
また指針は、当事者の間に売買契約があることは「簡便な基準に過ぎない」とし、契約があるというだけで有価物とは判断しないとしています。
運搬費で赤字になるとき
大阪市は、売り手が運送費を払う場合、売値から運送費を差し引いても売り手に利益が残ることを有償譲渡の目安にしています。自社で運ぶ場合は、運搬にかかる実費で比べます。買い手が運送費を払う場合は、買い手が売り手に対価を払っていることが目安です(大阪市Q15)。
差し引きで赤字になる状態は、逆有償や「手元マイナス」と呼ばれます。この場合でも環境省の通知は、再生利用のために買い取る者が受け取った後については、条件を満たせば廃棄物に当たらないと判断して差し支えないとしています(平成25年3月29日通知)。条件には、買い手の再生利用が製造事業として確立・継続していること、売却実績のある製品の原料にすることなどがあります。
一方、買い手に届くまでの運搬は、廃棄物と判断されることがあります。環境省のQ&Aは、運送費が売値を上回るというだけで、ただちに廃棄物とはせず、物の性状や取引の実態を合わせて判断するとしています(規制改革通知Q&A集Q11)。ただし、同じ通知の照会事例には、運搬費が売値の10倍ほどになるケースで、運搬を引き受ける会社に産業廃棄物収集運搬業の許可が必要だとしたものがあります。大阪市は、運賃による逆有償は廃棄物に当たると案内しています(Q16)。この場合のマニフェストは、A・B1・B2票だけを使い、処分受託者の欄に売却先の名前を書く運用です(同Q57)。
相場が下がったとき
これまで売れていた物でも、相場が下がって処理料金を払うようになれば、その時点から産業廃棄物となり、委託基準が適用されます(大阪市Q15)。毎回の取引で、買取額と運搬費を分けた明細を受け取り、手元に残る額を確かめておくと判断しやすくなります。
金属くずを処分に出すときの費用の目安は、金属くずの品目ページにあります。
「専ら物」のくず鉄として出す場合
くず鉄(古銅などを含む)は、古紙・空きびん・古繊維とともに専ら物に当たります。専ら再生利用する業者に再生のために委託する場合は、相手に処理業の許可は要らず、マニフェストも要りません(法14条1項・6項のただし書、施行規則8条の19第3号)。ただし、売るのではなく委託する場合は、書面での契約が必要です(マニフェストがいらないのはどんなとき)。
混ぜてはいけない物
家電や電子機器が混ざった、いわゆる雑品スクラップは別の扱いです。家庭用と同じ構造のエアコン、冷蔵庫、洗濯機、テレビ、電動工具、事務用の電気機器などのうち、廃棄物に当たらないものは「有害使用済機器」とされます。その保管・処分を業として行う者には、都道府県知事への届出が義務づけられています(法17条の2、施行令16条の2)。この届出制度は、2026年改正の施行(2028年12月までの政令で定める日)で廃止され、ヤードの許可制に置き換わります(2026年改正)。エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は家電リサイクル法の対象にもなります。金属は分けて出してください。機器の依頼先は、パソコン・OA機器や業務用エアコンのページで確認できます。
売る前のチェック
- 買取額と運搬費を分けた見積りをもらい、手元に残る額を計算する
- 赤字になるなら、許可業者への委託として契約書とマニフェストを用意する
- 買い手の名前・所在地・買取の明細を残す
- 判断に迷う物は、売る前に、事業場のある都道府県・政令市に確かめる
なお、2026年6月公布の法改正で、使用済みの金属・プラスチック物品を扱うヤードに許可制が入ります(施行は2028年12月までの政令で定める日)。詳しくは廃棄物処理法の2026年改正をご覧ください。
根拠と確認先
このページで説明した制度や数字の根拠となる資料です。
- 環境省 行政処分の指針について(令和3年4月14日 環循規発第2104141号)第1の4(2)(3)www.env.go.jp
- 環境省 平成25年3月29日 環廃産発第13032911号(廃棄物か否か判断する際の輸送費の取扱い等)www.env.go.jp
- 環境省 規制改革通知に関するQ&A集(平成25年6月28日改正)Q9・Q11www.env.go.jp
- 環境省 平成17年3月25日 環廃産発第050325002号(平成25年改正後、照会事例を含む)www.env.go.jp
- 大阪市 産業廃棄物に関するよくある質問(Q15・Q16・Q57)www.city.osaka.lg.jp
- 廃棄物処理法12条・14条・17条の2、同施行令16条の2、同施行規則8条の19(e-Gov)laws.e-gov.go.jp
運用は都道府県や市区町村によって異なる場合があります。個別のケースは、事業所のある自治体の担当窓口にご確認ください。
関連する品目
このページに出てくる用語
- 有価物
- 自分で使えるか、他人に有償で売れる物。廃棄物かどうかは売買の形だけでなく総合的に判断される。
- 逆有償
- 売却額より運搬費のほうが高く、排出側が持ち出しになる状態。廃棄物と判断されることがある。
- 専ら物
- 古紙・くず鉄(古銅等を含む)・あきびん類・古繊維の4品目。再生利用のためにこれらを扱う業者は、その部分について処理業の許可が要らず(ほかの廃棄物を主に扱う業者でも同じ。2023年2月の環境省通知)、委託するときもマニフェストは要らない(契約書は必要)。
- 家電リサイクル法(家電4品目)
- エアコン・テレビ・冷蔵庫と冷凍庫・洗濯機と衣類乾燥機は、事業所で使っていたものでも家庭用の機種なら家電リサイクル法の対象。