農業用ビニール・マルチの処分費用と処理方法
ハウスやトンネルの被覆フィルム、マルチ、育苗ポット、肥料袋など、農業で使い終わったプラスチック資材です。業種を問わない廃プラスチック類で、農業者が排出事業者になります。
農業用ビニール・マルチの要点
| 区分 | 産業廃棄物(業種を問わない廃プラスチック類)。農業者が排出事業者 |
|---|---|
| 書類に書く品目名許可証・委託契約書・マニフェスト | 廃プラスチック類 |
| 主な処理方法 | 塩化ビニルフィルム(農ビ)は再生原料にするマテリアルリサイクルが最も多い。ポリオレフィン系(農PO・農ポリ)は固形燃料(RPF)などの熱回収が主流 |
| 見積りの単位 | kg(土や水分を落とした重さ)。共同回収は1束・kg単位の負担金 |
| 買取の可能性 | 基本はなし。分別・洗浄が行き届いた物を無償や安く引き取る地域の事例がある |
区分は品目の一般的な扱いです。最終的な判断は、自治体と委託先の業者にご確認ください。
業者の料金表では、農業用ビニール150円/kg(茨城)、ビニール類・フィルム66〜70円/kg〜(北海道・沖縄)の例です。多くの地域では、市町村や農協などの協議会が共同回収をしています。鹿児島市の共同回収は塩化ビニルフィルム(農ビ)が70円/kg(税込、令和7年度、市内の農業者が対象)で、千葉市の協議会は農家の負担を1束(10kg)260円とし、残りを補助金や負担金で賄っています。農業用と明記した料金は茨城の1件で、北海道・沖縄はビニール類一般の料金です(北海道の料金表は塩ビ系を別扱い、沖縄はロール状・長尺物に追加料金)。農ビを受け付けるかは業者に確かめてください。土や水分が付いたままだと重さが増え、料金も上がります。業者の料金表はいずれも税別で、収集運搬費と消費税は別にかかります。
出典(2026年10月に確認):クリーン小林(茨城(土浦))、アンビエンテ丸大(北海道(旭川))、沖縄県産業廃棄物処理協同組合(沖縄)、鹿児島市(共同回収)(鹿児島)、千葉市(農業用廃プラスチック対策協議会)(千葉)
農業用ビニール・マルチの見積りを依頼する該当するもの
- ハウス・トンネルの被覆フィルム(農ビ・農PO)
- ポリマルチ
- べた掛けシート・防虫ネット・寒冷紗
- 育苗ポット・育苗箱
- 肥料袋・フレコンバッグ
- サイレージラップ(畜産)
分類と法的な扱い
農業で使い終わったビニールやマルチは、産業廃棄物の廃プラスチック類です。廃プラスチック類には業種の限定がないため、農業から出た物も産廃になります。千葉市や鹿児島市も、農業用の廃プラスチックは産業廃棄物であり、農業者が自らの責任で処理するよう案内しています。
農林水産省の基本方針(令和8年4月)は、フィルムを種類ごとに分けるよう求めています。
| 種類 | 主な資材 |
|---|---|
| 塩化ビニルフィルム(農ビ) | ハウスの被覆フィルム |
| ポリオレフィン系フィルム(農PO・農酢ビ・農ポリ) | ハウス・トンネルの被覆、マルチ |
| その他のプラスチック | 育苗ポット・育苗箱、肥料袋、ネット、不織布、サイレージラップなど |
畑やハウスの横で燃やしたり、埋めたりしてはいけません。廃棄物の焼却は、処理基準に従う場合などを除いて禁止されています(廃棄物処理法16条の2)。鹿児島市は自家焼却や自分の土地への埋設を、千葉市は野焼きや簡易なドラム缶での焼却を、禁止事項として挙げています。
家庭菜園から出たビニールは対象外です。市区町村の家庭ごみのルールに従ってください。
処分費用の内訳と安くする方法
業者の料金表では、ビニール類・フィルムは66〜150円/kgの例です。多くの地域では、市町村や農協などが協議会を作り、決まった日に共同回収をしています。共同回収の負担金は、補助金などで業者の料金より安くなっていることがあります。
- まず市町村か農協に、共同回収の日程・対象の資材・束ね方を確かめる
- 農ビと農PO・農ポリを分ける。混ざると再生に回しにくくなる
- 料金は重さで決まるため、土・植物の残り・金属のハトメや針金を落とし、乾かしてから出す
- 回収の対象外の資材(硬質のポット、塩ビ管など)は、許可業者への委託を別に見積もる
農林水産省の基本方針では、分別・洗浄を徹底した地域で、無償や比較的安い料金での引き取りが実現した事例が紹介されています。
処理方法(中間処理・最終処分・リサイクル)
農林水産省の基本方針によると、塩化ビニルフィルムはマテリアルリサイクル(再生原料にする方法)が最も多く行われています。茨城県の園芸リサイクルセンターは、農ビを再生品にして、主に床材の原料に回しています。
ポリオレフィン系のフィルムは熱回収が主流で、固形燃料(RPF)などにしてセメント工場・製紙工場・発電所の燃料に使われます。マルチの原料に戻す取り組みも始まっています。埋立は、リサイクルや熱回収が難しい場合に限るとされています。
委託するときの注意点
- 共同回収を使わずに業者へ頼むときは、許可品目に廃プラスチック類がある業者と書面で契約し、マニフェストを交付します。
- 共同回収では、協議会が契約や伝票の手続きを代わりに行う地域があります(茨城県など)。参加の条件と手続きを確かめてください。
- 千葉市の協議会のように、法人の加入を受け付けていない共同回収もあります。農業法人は、許可業者への委託も含めて見積りを取ってください。
- 自分のトラックで処理施設へ運ぶときは、車体に産業廃棄物の収集運搬車であることを表示し、書面を備え付けます(自社運搬の決まり)。
よくある質問
生分解性マルチなら、畑にすき込んでよいですか?
農林水産省の基本方針では、紙マルチや生分解性マルチは、使用後に作物の残さと一緒に土へすき込めるとされています。ただし、生分解性が認証などで担保された資材を使い、農業者が管理して処理することが前提です。普通のポリマルチはすき込めません。
量が少ないので、事務所のごみと一緒に出してよいですか?
農業で使ったビニールは産業廃棄物なので、事業系一般廃棄物のごみ収集には出せません。少量なら、共同回収に出すか、許可業者へ持ち込むか回収を頼んでください。
農薬の空き容器も一緒に出せますか?
共同回収の対象に含める地域があります。鹿児島市はプラスチック製の空き容器を回収品目に挙げ、水ですすいで出すよう案内しています。中身が残った農薬は扱いが異なるため、市町村か農協に確かめてください。
関連する品目
このページの費用は目安です。法令の記述は、環境省や都道府県の公開情報をもとにしています。最終的な判断は、所管の自治体と委託先の業者にご確認ください。