場面別

工場の産業廃棄物の定期回収と、処理業者の見直し

工場からは、廃油・廃液・汚泥・廃プラスチック類など、量も性状も違う物が毎月出ます。特別管理産業廃棄物に当たるかの見分け方、業者を替えるときの手順、年ごとの報告、費用の想定例をまとめました。

想定している読者: 製造業の工場で廃棄物の担当をしている総務・環境・製造部門の方

出る物と区分

同じ場所から出る物でも、産業廃棄物、事業系一般廃棄物、別の法律の仕組みで扱う物に分かれます。区分が違えば、依頼できる業者の許可も、必要な書類も変わります。

  • 金属の端材・切粉 産業廃棄物

    金属くずです。鉄と非鉄に分けて量がまとまれば、買い取ってもらえることがあります。

    売れる物は廃棄物に当たらないことがあります。ただし、買取といっても運賃などを差し引くと、こちらが支払う形になるもの(逆有償)は、廃棄物として扱われることがあります。

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  • 切削油・潤滑油・作動油 業種・状態で変わる

    廃油は業種を問わず産業廃棄物です。揮発油類・灯油類・軽油類に当たる燃えやすい廃油は、特別管理産業廃棄物になります。

    水溶性の切削液など、ほかの物と混ざった廃油は扱いが変わることがあるので、成分と性状を処理業者や所管の自治体に確認してください。

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  • 酸・アルカリの廃液(めっき・洗浄など) 業種・状態で変わる

    廃酸・廃アルカリです。pH 2.0以下の廃酸とpH 12.5以上の廃アルカリは、特別管理産業廃棄物です。

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  • 排水処理の汚泥 業種・状態で変わる

    汚泥です。決められた施設から出た汚泥のうち、有害物質を基準を超えて含む物は、特別管理産業廃棄物(特定有害産業廃棄物)になります。

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  • 樹脂の端材・不良品・梱包のフィルム 産業廃棄物

    廃プラスチック類です。業種を問わず産業廃棄物です。

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  • 木製パレット・梱包の木材 産業廃棄物

    貨物の流通に使ったパレットと、その積付けに使った梱包の木材は、業種を問わず産業廃棄物(木くず)です。

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  • 段ボール・紙くず 業種・状態で変わる

    紙くずは業種限定の品目で、多くの工場では事業系一般廃棄物です。

    パルプ・紙・紙加工品の製造業、新聞巻取紙を使う新聞業、印刷出版を行う出版業、製本業、印刷物加工業から出る紙くずは産業廃棄物です。段ボールは古紙として0円や有価で引き取られることがあります。

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  • ボイラー・焼却炉の燃え殻・ばいじん 業種・状態で変わる

    燃え殻は産業廃棄物です。ばいじんは、ばい煙発生施設や廃棄物の焼却施設などで発生し、集じん施設で集めた物が産業廃棄物になります。このうち、決められた施設から出て、鉛・カドミウムなどを基準を超えて含む物は、特別管理産業廃棄物になります。

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  • 蛍光灯・水銀灯 産業廃棄物

    水銀使用製品産業廃棄物です。割らずに、ほかの物と分けて出します。

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  • 食堂の残飯・事務所のごみ 事業系一般廃棄物

    事業系一般廃棄物です。動植物性残さが産業廃棄物になるのは、食料品製造業などで原料として使った物に限られます。

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区分は、廃棄物処理法とその施行令で定める品目によります。業種が限られる品目や混ざった物の扱いは、自治体によって運用が違うことがあります。事業所のある自治体に確認してください。

費用の考え方と想定例

費用は大きく「収集運搬費(車両1台ごと)」と「処分費(品目の単価×量)」に分かれます。ここでは、品目ページに載せている処分単価の幅に仮の量を掛けた想定例を示します。実際の事例ではありません。

収集運搬費の目安(1台・1回)
  • 4t車: 18,000〜35,000円
  • 2t車: 15,000〜30,000円

関東の処理業者が公開している料金表から、車種ごとの料金(多くは「○円〜」と書かれた最低料金)の幅をまとめたものです。距離や積込みにかかる時間、階段での作業の有無によっては、これより高くなることがあります。

想定例1: 金属加工の工場で月1回まとめて出す

  • 使い終わった切削油・潤滑油 約200 kg 廃油 0〜120円/kg × 200kg 0〜24,000円
  • 梱包のフィルム・樹脂の部材 約300 kg 廃プラスチック類 25〜100円/kg × 300kg 7,500〜30,000円
  • 鉄の端材・切粉 約1,000 kg 金属くず 0〜40円/kg × 1,000kg 0〜40,000円
  • 収集運搬費(4t車・1台) 18,000〜35,000円/台 × 1台 18,000〜35,000円
処分費
7,500〜94,000円
収集運搬費
18,000〜35,000円
合計の目安
25,500〜129,000円

廃油の単価は、再生できるきれいな油の0円から、水や泥が混ざった油の120円/kgまで幅があります。燃えやすい廃油など特別管理産業廃棄物に当たる物は単価が違い、この例には入れていません。金属くずを買い取ってもらえれば、その分の処分費はかかりません。

想定例2: 樹脂成形・組立の工場で月2回出す

  • 成形の不良品・ランナー・フィルム 約800 kg(2回分) 廃プラスチック類 25〜100円/kg × 800kg 20,000〜80,000円
  • 壊れた木製パレット 約300 kg(2回分) 木製パレット 15〜50円/kg × 300kg 4,500〜15,000円
  • 収集運搬費(2t車・2台) 15,000〜30,000円/台 × 2台 30,000〜60,000円
処分費
24,500〜95,000円
収集運搬費
30,000〜60,000円
合計の目安
54,500〜155,000円

1か月分の想定です。

量と車両の台数は仮の数字です。搬出の作業費・養生費、マニフェストの費用、産業廃棄物税、消費税は含めていません。単価の出典は、各品目のページに載せています。

定期回収を始める・業者を替えるときの手順

  1. 出ている物を書き出します。 品目、月ごとのおおよその量、荷姿(ドラム缶・フレコンバッグなど)、出る工程と使っている薬品をまとめます。廃液や汚泥は、WDSの様式で成分と性状を整理しておくと、見積りが早く正確になります。
  2. 特別管理産業廃棄物が含まれるか確認します。 含まれる場合は、事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置き、特別管理の許可を持つ業者に頼みます(下の「特別管理産業廃棄物が出るとき」)。
  3. 許可の内容を確認して、見積りを取ります。 品目、積む場所と下ろす場所の区域、許可の期限を許可証で確認します。kg・m³・台など見積りの単位は業者によって違うので、そろえて比べます(見積りの単位の比べ方)。
  4. 収集運搬業者・処分業者のそれぞれと書面で契約します。 契約書には許可証の写しを付けます。
  5. 切替えの日を決めて、前の業者との契約を終えます。 前の業者に渡した分のマニフェストがすべて返ってきているかも確認します。
  6. 契約書とマニフェストを5年保存します。 契約書は、契約が終わった日から5年です。

委託契約で決まっていること

産業廃棄物の処理は、その品目を許可の範囲に含む処理業者と書面で契約を結んで委託します(廃棄物処理法12条5・6項、施行令6条の2)。契約書には、品目と数量、運搬の最終目的地、処分の場所・方法・施設の処理能力、中間処理なら最終処分の場所と方法を入れます。

このほか、契約の有効期間、委託者が支払う料金、受託者の許可の事業の範囲、廃棄物の性状や荷姿、保管中の変化、ほかの物と混ざったときの支障などの情報を入れます(施行規則8条の4の2)。定期回収で量や品目が増えたときは、契約書の内容が対応しているかを見直します。

特別管理産業廃棄物が出るとき

特別管理産業廃棄物を出す事業場には、事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者を置きます(同法12条の2第8項)。出る量が少なくても必要で、資格の要件は施行規則8条の17で定められています。

委託するときは、契約の前に、種類・数量・性状・荷姿と、取り扱うときの注意を文書で業者に知らせます(施行令6条の6、施行規則8条の16)。収集運搬と処分のどちらも、特別管理産業廃棄物の許可を持つ業者に頼みます。

工場でよく出る物のうち、次の物が特別管理産業廃棄物に当たります(施行令2条の4、施行規則1条の2)。

  • 廃油のうち、揮発油類・灯油類・軽油類(タールピッチ類は除く)
  • pH 2.0以下の廃酸、pH 12.5以上の廃アルカリ
  • 決められた施設から出た汚泥・燃え殻・ばいじんなどのうち、有害物質を基準を超えて含む物(特定有害産業廃棄物)

年ごとの手続き

マニフェストの交付等状況報告

紙のマニフェストを交付した事業者は、その年の3月31日までの1年間に交付した分について、事業場ごとに毎年6月30日までに報告書を提出します(同法12条の3第7項、施行規則8条の27)。提出先は事業場のある都道府県で、政令市・中核市などでは市です。書き方は交付等状況報告書の書き方にまとめています。

多量排出事業者の計画と報告

前年度の産業廃棄物の発生量が1,000 t以上、または特別管理産業廃棄物が50 t以上の事業場を持つ事業者は、多量排出事業者です(施行令6条の3・6条の7)。都道府県知事に、その年度の6月30日までに処理計画を、翌年度の6月30日までに実施状況の報告を提出します(施行規則8条の4の5・8条の4の6・8条の17の2・8条の17の3)。

電子マニフェストの義務

前々年度の特別管理産業廃棄物(PCB廃棄物を除く)の発生量が50 t以上の事業場は、その特別管理産業廃棄物を委託するときに電子マニフェストを使う義務があります(同法12条の5、施行規則8条の31の2・8条の31の3)。委託先も電子マニフェストに加入している必要があるので、業者を替えるときは確認してください。

業者を見直す前に確かめたいこと

処理困難通知が届いたとき

処理業者は、施設の事故や廃止、行政処分などで、受託した廃棄物を適正に処理できなくなったとき、またはそのおそれがあるときに、委託した事業者へ書面で知らせます(同法14条13項)。この処理困難通知を受けたら、処理料金を支払い済みであっても、処理の状況を把握し、適切な措置を講じます(同法12条の3第8項)。引き渡した分のマニフェストが返ってきているかを確認し、新たな委託を続けるかを判断します。

処理の状況の確認

委託した事業者は、処理の状況を確認し、最終処分までの一連の処理が適正に行われるために必要な措置を講じるよう努めなければなりません(同法12条7項)。法律では努力義務ですが、条例や要綱で処理施設の実地確認を求める自治体もあります(実地確認は義務か)。

単価だけを見て業者を替えると、処分先や最終処分の場所が変わったのに気づかない場合があります。新しい契約書で、処分の方法と最終処分の場所を確認してください。

費用を抑えるには

  • 分けて出します。 廃プラスチック類は、きれいな物を固形燃料やリサイクルに回せると単価が下がります(分別すると処分費はどれくらい下がるか)。
  • 売れる物を分けます。 金属くずや段ボールは、量がまとまれば、0円で引き取ってもらえたり、買い取ってもらえたりすることがあります。
  • 回収の回数と容器を見直します。 運搬費は1台・1回ごとにかかるので、保管基準を守れる範囲で回数をまとめると下がります。
  • 見積りの条件をそろえて比べます。 単位(kg・m³・台)と、運搬費・容器・マニフェストの費用が単価に含まれているかを、業者ごとにそろえて見ます。

関連する品目・疑問・用語

品目別の費用

よくある疑問

用語

ほかの場面

見積りを依頼するときは

出る物が複数あるときは、品目で「複数品目・わからない」を選んでください。補足欄には、出る物の一覧とおおよその量、搬出の条件(階数・エレベーターの有無・車両を停める場所)をお書きください。業者から連絡があったときにすぐ送れるよう写真を用意しておくと、話が早く進みます。処理そのものは当サイトでは請け負わず、許可を持つ処理業者へおつなぎします。

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このページの費用は目安です。法令の記述は、条文と環境省・自治体の公開情報をもとにしています。個別のケースの判断は、所管の自治体と委託先の業者に確認してください。

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